今回は、2025年6月27日に開催されました「第3回 次世代電力系統ワーキンググループ」の議論内容を読み解き、自身の学びとして整理しました。再生可能エネルギーの出力制御、ノンファーム型接続の進捗、局地的な大規模需要への対応、そして系統用蓄電池の連系ルールといった、日本の電力システムの未来を左右する重要な議題が議論されています。
再生可能エネルギー出力制御の現状と長期見通し
再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、出力制御エリアが全国に拡大し、足元の出力制御量は増加傾向にあることが報告されています。特に、最小需要日には需要に占める太陽光・風力の割合が100%を超えるエリアも現れており、再エネ導入が着実に進んでいることが示されました。
この対策として、オンライン制御の推進が重要視されています。新ルール以降の事業者はオンライン化が必須とされ、旧ルールの事業者に対してもオンライン代理制御によって公平性が確保されています。一方で、地域によってはオンライン化率に差があり、継続的な働きかけが必要な状況です。
また、発電事業者の予見性を高めるため、出力制御の長期見通しが公表されました。今年度からは、優先給電ルールの見直しを踏まえ、FIP(Feed-in Premium)比率を25%とした場合の見通しが新たに試算されています。この試算では、需要対策、供給対策、系統対策といった追加的な対策を講じた場合の結果も示されており、FIP移行によってFIT電源と比較して出力制御率が減少する傾向が示唆されています。これらの情報は、発電事業者が事業性を判断する上で重要な材料となると考えられます。
日本版コネクト&マネージにおけるノンファーム型接続の進捗
ローカル系統におけるノンファーム型接続の受付が2023年4月から開始され、一部エリアでは混雑発生を想定した暫定措置による対応が始まっています。2025年3月には、中部電力パワーグリッド管内において、全国で初めてローカル系統の制約による自然変動電源の出力制御が実施されたことが報告されました。これは、ノンファーム型接続の導入が進んだ結果であり、電力広域的運営推進機関(OCCTO)による事後検証が行われます。
系統制約による出力制御を抑制するため、系統増強が基本的な対策とされていますが、より効率的な系統整備のため、非混雑系統への電源立地誘導や系統情報の公開拡充も重要であるとされています。さらに、事業者の予見性向上のため、2030年度を対象とした系統混雑の中長期見通しも算出される予定です。
運用上の課題として、既設のオフライン電源が増設を行う際の取り扱いが議論されました。系統の安定運用と公平性の観点から、増設時には既設部分も含めてオンライン化を接続の要件とすることが提案されています。
北海道電力ネットワーク株式会社からは、混雑管理システム運用開始前の暫定措置の詳細が説明されました。この措置では、人間系による処理を前提に、前月に出力上限値を通知することで混雑を回避する計画です。
局地的な大規模需要に対する規律確保の方向性
AIの普及を背景としたデータセンター建設ニーズの高まりにより、局地的な電力需要が急増しています。これに伴い、系統接続に長期間を要する事例や、「空押さえ」(工事に必要な協議ができず保留となっているもの、一度提出した計画について下方修正や送電日の延期をするもの、提出された計画に比して使用実績が伸びないもの)と見られる行動が問題視されています。これは、真に必要な需要家への連系遅延や、送配電事業者の非効率な設備形成につながる懸念があるためです。
この問題に対応するため、複数の方向性が議論されました。まず、既存設備を最大限活用するため、系統余力のあるエリアを示す「ウェルカムゾーンマップ」の拡充や、特定の条件下での早期連系を検討することが挙げられています。また、系統整備における費用負担の在り方や、系統接続手続きにおける期限の設定、用地取得状況の確認といった、完工前後の各段階での規律強化策が提示されました。
系統用蓄電池の迅速な系統連系への道筋
系統用蓄電池の接続検討申込みが急増し、接続までの期間が長期化している現状が報告されました。分析の結果、補助金やオークションの公募期限近くに申込みが集中し、同一事業者による数十件規模の申込みなど、「容量の空押さえ」につながるケースが推定されています。事業確度の低い案件や不適切な土地での申込み、投機目的での接続権益譲渡といった問題も明らかになりました。
これらの課題に対し、系統アクセス手続きにおける規律強化に加え、系統用蓄電池の特性を活かした新たな接続ルールの見直しが提案されています。具体的には、蓄電池の柔軟性を活かし、充電側(順潮流側)にノンファーム型接続を導入することが検討されています。これにより、系統増強を行わずに早期の連系が可能となる一方で、系統運用の複雑化などのデメリットも考慮し、慎重な制度設計が進められます。
おわりに
今回の「第3回 次世代電力系統ワーキンググループ」の議論を読み解くことを通じて、再生可能エネルギーの主力電源化という大きな目標に向けた、電力システム全体の変革プロセスを理解することができました。
再エネ導入拡大に伴う出力制御の増加、全国初となったローカル系統でのノンファーム型接続による出力制御の実施、そしてデータセンターや系統用蓄電池の急増がもたらす新たな課題など、次世代電力系統の安定的な運用には多くの現実的な課題が伴うことを改めて認識いたしました。これらは個別の事象ではなく、すべてが相互に関連し合っている複雑な問題だということもわかりました。
特に、オンライン制御の推進やFIP制度への移行、各種接続ルールの見直しや規律強化といった具体的な制度設計の議論は、技術、経済性、公平性といった多様な側面を考慮しながら、いかに最適なバランスを見出そうとしているかの現れであると感じています。
今回の学びを通じて、単なる技術的な理解に留まらず、政策が形成される背景や、その複雑な調整プロセスの重要性について、自身の知見を一層深めることができました。今後も、日本のエネルギー政策の動向を注視し、学びを続けていきたいと思います。
